この陸上選手は全国大会で結果を出せるだけのタイムは突破していてそれだけの努力をしてきた自負もあります。
しかし、実力があることは分かっているのだけれど本番で本当に力が出せるのかが不安、というのが問題でした。
そして、その不安の正体を探っていくと見つかったのは、ずっと持ち続けていた「悔しさ」の裏にある自己否定だったのです。
「悔しさをバネにする」というように、スポーツにおいて悔しさはプラスの効果のイメージを抱いている人も多いのではないかと思います。
実はこの選手も、悔しさをバネにしてこれまでは成果を出してきていたのです。
悔しさは幼い頃抱いたものでした。
その頃は別の競技をしていたのです。
しかし、メンバーの中ではあまり上手な選手ではなく、周りに馬鹿にされ悔しい思いをしたことをきっかけに陸上へと種目を転向したのです。
その後は勉強面でも周りから馬鹿にされないように努力をし、有名大学へも進学を果たしました。
そして、今回の陸上という種目でも全国で戦えるだけの力をつけてきたのです。
このように「悔しさ」は人を動かす原動力になります。
しかし、その悔しさはメリットをもたらす側面もあれば本番に対する不安というデメリットにもなり得るのです。
悔しいという感情を持つこと自体は何の問題もありません。
しかし、その時に上手く感情を昇華できずにいたことによって「もう二度とこんな思いをしたくない!」という思いに至ります。
それは原動力にもなるのですが同時に「こんな自分にはなりたくない!」という自己否定にもつながっている場合があります。
それが不安や自身のなさにつながるのですね。
不安と同時に「実績のない自分が結果を出してもいいのか」という思いを抱いていたことにも明らかになりました。
その思いが結果を出さないように無意識下でストップをかけていたのです。
その出来事からは10年以上も経っているのにも関わらず、人の持ち続けている思いと感情というのは競技人生において影響を及ぼしてしまうわけです。
このようにデメリットとして表面化してきた時には自己否定や感情を手放すチャンスです。
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