物事が順調に運んでいる時、心地よく人生を楽しむことができるでしょう。こんな瞬間を少しでも長く続けていたい、あるいはそうなってほしいと私たちは願います。
しかし、そんな心地良い時間を過ごしている時、なかなか自分の行動や意識に向き合うということをしないのです。なぜなら、その必要がないからです。物事が期待通りに行かず嫌なことが起こっている時、「人生を楽しんでいる」と感じられる人は少ないでしょう。この状況から一刻も早く早く抜け出したい、あるいは、生きている事さえ嫌だと感じることさえあります。それは、辛いし、苦しいし、とても苦痛なことですが、『悪いこと』とは限りません。
そんな時、人は、悲しみや寂しさ、腹立たしさや恥ずかしさ、罪悪感や焦り、喪失感や無力感などのネガティブな感情が沸いてきます。
ネガティブな感情は決して悪いものではありません。しかし、ネガティブな感情はその感覚が不快なので、感じたくないのです。
その不快な感覚の感情が湧いてきた時に、なんとかして消し去ろうとします。お酒を飲んだり、テレビを見たり、友達に愚痴を聞いてもらったり、体を動かしたり。いわゆる『ストレス解消』をしようとします。しかし、それらの感情は実際は消えたのではなく、奥深くにしまい込んで見えないようにしているだけです。なので、何かのきっかけで表面に浮き上がってくることがあります。
つまり、解決されていないのです。このように解決されていない状態では、きっかけだった出来事は、自分の中でただの『悪いこと』として残るでしょう。
しかし、その不快な感情に蓋をせずに、正面から向き合い、解決することで、『悪い出来事』から『新しい発見につながったきっかけ』に変えることもできます。
冒頭にお話ししたように、物事が順調に運んでいる時には、これまで蓋をして押し込んできた感情や出来事は表面に現れてきません。しかし、嫌だと感じることが起こっている時ほど、これまで解決されずにいたことがクリアにできるチャンスです。なぜなら、解決するには『感情をつかまえる』ことが必要だからです。
解決されて、感情とその「悪い出来事」につながりがなくなった時、もう何かのきっかけで表面に浮き上がってくることもないし、新しい感覚が姿を現し始めます。
例えば、
出来事➡「自分の思っていることを正直に言ったら友達から無視をされるようになった」
感情➡「悲しい・寂しい・無力感」
⇒自分の思いを正直に言わないようにしよう→好きな人に告白できない・人前で発表するのが嫌・人と親密になれない・本音を話せない・・・
解決すると
⇒自分の思いを表現しても大丈夫→好きな人に想いが伝えられる・自分のアイデアを提案できる・信頼できる友人が増えた・自分の本当の魅力が周りに伝わる・・・
というような感じに。
解決することで、自分が違う誰かに変化するのではなく、本来持っていたはずの魅力や能力が発揮できるようになるのです。
そして、自分の置かれている状況に対しての見方も変わります。そうすると、これまでは「うまくいくためにはこうしなければいけない」「この方法しかない」と思っていた感覚が、「こんな方法もある」「無理だと思っていたこれは無理じゃないな」という風に自然と変化します。
あまりにも辛い時には、一度目を背けて見えないようにしてしまうことも必要です。しかし、前に進みたいと感じるようになった時、不快な感情と向き合うことで新しい感覚を手に入れられることができます。
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