弱さを認める強さ

私たち人間は、誰しもが弱さを持っていますよね。

自分の中のどの部分を弱いと感じているかは、人それぞれ違っていますが。例えば、自信のなさを弱さと感じている人もいるでしょうし、苦手なことから逃げてしまうこと、すぐあきらめてしまうこと、傲慢なところ、できないことがあること、知識がないことを自分の弱さと感じているなど、様々です。

そんな時たいてい私たちは、その自分が自覚している弱さを隠したいと感じるものです。そして、その弱さとして感じている自分の要素を無意識になかったことにしてしまいます。しかし、実際にはないことにはできません。

つまり、なかったことにして見ないふりをしているだけで、本当は何ら変化は起きないのです。しかし、その弱さを自覚して現実を受け止める所が、前へ進むためのスタートラインになるのです。

例えば、チームの中で自分が一番足が遅かったとします。足が遅いことは様々なプレーに影響を及ぼします。このままでは、試合に出場することができません。それは嫌なので、「自分は足が遅くない」ことを隠し、なかったことにするために、いろいろ画策したとします。できるだけ足が遅い人と一緒に走って周りにバレないようにしたり、バレそうな場面に出くわしたら他の人に代わってもらったり、理由をつけて回避します。そんな時に仲間やコーチから自分が足が遅いことを実感させられるようなことを言われたりすると、きっと腹を立ててふてくされたくなるでしょう。なぜなら、「足が遅い」ことは自分の中で消してしまいたい要素だからです。

しかし、そうして「チームの中で一番足が遅い」という現実から目をそらしていても、決して足が速くなることはないでしょう。そして、「このままでは試合に出場することができない」という現実も変わらないのです。

そうやってないことにするよりも、「足が遅い」という現実を受け止めて認めた上で、「どのようにして試合に出場できるようになるか」を考えた方が早道です。人よりスタートのタイミングを早くする、予測力を高める、無駄な動きを省く、切り返しのスピードを速める・・・など、現実を認めてしまえば、その弱さをカバーするための手段はたくさんあることが分かります。

そして、それらはいずれ、自分の『強み』になるのです。

足が遅いということ自体は本来、良くも悪くもない、ただの事実です。その自分の中の一部分の要素を、嫌な要素、悪い要素、弱い要素だと捉えるかどうかは自分次第です。ただの事実だと捉えている時、それを人に指摘されたとしても「それが何か?」というぐらいのことでしかありません。

弱さをダメな部分だとして捉え、その弱さを持っていることが恐い、ないことにしたい、と感じている時は、「認めることでデメリットが生まれてしまう」もしくは、「認めないでいることで何らかのメリットを感じている」のかもしれません。

それらのデメリットやメリットの正体が何なのかを探っていくことで、あなたが『弱さ』だと見なしていたものが、『強み』へと変わる第一歩となることでしょう。

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