2012年ロンドンオリンピックで個人総合(金)・団体(銀)・種目別ゆか(銀)を獲得した体操の内村選手。
大会後のインタビューでこんな話をされています。
Q.ロンドンオリンピックの率直な感想を
そうですね。だいぶ苦しかったですね。なんかこう、本番前は調子が良くて、凄い演技が出来る気がしていたんですけど、いざやってみるとそうでもなく、本当に何かと戦いながら試合をやっていた感じで、苦しかったの一言でしかないですね。
Q.団体予選は初めの演技という事で緊張しましたか?
全く緊張はなかったですね。緊張というよりも、初めの鉄棒でミスをして流れに乗れなかったので、そこから自分にいらだちながら演技をしてきたので、若干気持ちは切れかけていましたね。
Q.普段と何かが違いましたか?
やる前からはいつもの気持ちで臨んだんですが、いざやってみると、いつもより力が出すぎて、それを自分自身でコントロールできなかったのがミスをした原因だと思います。
Q.最近の大会でそのような事はありましたか?
無いですね。やっぱり、練習の時からこのオリンピックにすごく賭けていたので、それにかける思いというのがちょっと強すぎてこうなってしまったのかと思います。普通どおり練習をして、世界選手権と同じように試合に臨んだんですが、やっぱり違いましたね。オリンピックは。
Q.オリンピックは大会ごとに雰囲気が違いましたか?
かなり違うなという印象ですね。やっぱりオリンピックは初めて出た時が一番楽しいと感じましたね。2回目、3回目と回数を重ねるごとに、何かと戦っていかなければいけないのかなと感じました。
Q.日本代表としての重圧とかありましたか?
日本代表としての重圧は感じませんでしたが、自分の気持ちを抑えきれなかったのでミスにつながってしまって、自分に負けてしまったという事なので。もうちょっといつも通り楽しんでできればよかったのかなと思います。
出典:コナミスポーツクラブ > アスリート > NEWS >体操個人総合金メダル 内村 航平が心境を語る〜ロンドンオリンピック特別インタビュー〜
内村選手は、重圧や緊張を感じていたわけではなく、むしろ『本番前には調子が良くて、凄い演技が出来る気がしていた』と言っているのです。
ところが、いつも通りいかない、ミスをしてしまう、ということが起こってしまったのです。
うまくいかなかった原因は、自分の気持ちを抑えきれなかったいつも通り楽しんでできれば良かったと彼は振り返っているのです。
この体験には百戦錬磨を乗り越えてきている選手にも、これからどんどん乗り越えていく選手にも共通する重要なヒントが隠れています。
内村選手はうまくいかなかった原因の1つに『自分の気持ちを抑えきれなかった』ことを上げています。
本番中に、怒りや恐怖などの気持ちを抑えきれず力を出し切れなかったという経験をしている人は数えきれないほどいるでしょう。
内村選手も自分にいらだって気持ちが切れかけていたと話しています。
そこで、その『気持ち』に左右されてしまわないように、多くの人がやっているのが感情をコントロールしようとすることです。
しかし、実は、私たち人間は感情をコントロールすることなどできないのです。
感情は、勝手に湧いてきて、勝手にどこかへ去って行くものです。
あなたは、3分後に自分がどんな感情にあるかを予測できるでしょうか。もしくは、3分後に自分が〇〇な感情を湧いてこないようにすることはできるでしょうか。
試してみると分かるかと思いますが、できないのです。
それは、『感情』は人が主導的にコントロールして生み出しているものではないからです。
でも、私は感情をコントロールできる!と言いたい人もいるはずですね。
それは一体、どういうことなのでしょうか。
実は、感情が湧いてくるのはその出来事に対して私たちがそれぞれ意味付けをしているからなのですね。
内村選手は、最初のオリンピックの時が一番楽しかったと話しています。
それが2012年のオリンピックではそう感じることができなかった。
同じオリンピックという舞台であるけども、そのものに対してしている意味付けが違っているのです。
いつもやっている大会の1つと捉えるのと、特別な大会だと捉えるのとで同じ舞台も違った存在として扱われるということです。
いかに、普段通りのパフォーマンスを発揮できるかは、この意味付けをどのように捉えるかということが影響しています。
大きな舞台で結果を出したいと誰もが思うでしょうが、本当に結果を出したいのであれば、本来のパフォーマンスが発揮できるようにあまり自分自身で舞台を大きなものとしてしまわないようにすることです。
やるべきことをやれば、結果はついてくるだけの準備をあなたはしているはずです。
あなたは余計なことは何も考えず、やりたいことをやりたいようになればいいのです。
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