感謝の心が大切って言われるけど、実際にパフォーマンスとどう関係あるの?

「周りの人や環境に感謝の気持ちを持ちなさい」

 

と指導者が選手に教えることって、どこにでもある光景ですよね。

 

 

もちろん、

やってもらったことに対して感謝の気持ちを持つ

今、自分が好きなスポーツをやらせてもらえている環境に感謝の気持ちを持つ

全てが当たり前じゃないんだ、周りの人たちの協力があってこそできるんだっていうことに感謝の気持ちを持つ

・・・

など、人としてそうあろうとすることは大切なことかもしれません。

 

だけど、感謝しなさいって言われても正直、本心では感謝できないと感じている選手もいます。

 

それに、

「感謝とパフォーマンスのレベルを上げることとどう関係があるの???」

と選手に聞かれたらあなたはどう答えますか?

 

 

 

実は、感謝の気持ちが湧いてくるマインドの状態は、成功・勇気・挑戦・幸せ・喜び・自己肯定感が湧いてくる状態と同じなんです。

だから、そことはズレているようなマインドの状態、つまり、恐れ・不安・不幸・妬み・恨み・悲しみ・自己否定・嫌悪感などの感情が湧いてくる状態にある時には「心の底から感謝する」ってことは難しいんですね。難しいというか、真逆の領域にいる状態なのでそんな状態で感謝の気持ちを持つことは無理なんです。私たちの心のしくみとして。

 

何を言いたいかというと、自己否定している状態の選手には感謝の気持ちを持ちなさいと言葉で教えたとしても「心の底から感謝する」という気持ちを生み出すことって難しいということです。

 

つまり、感謝の気持ちを持てる人というのは、すでにワクワク・勇気・挑戦・幸せ・喜び・自己肯定感といった意識の領域にある人だから周りの人や出来事に心の底から感謝することができるんです。

ということは、選手に感謝する心を持たせたいのであれば、まずは自己肯定できるマインドに育てなければなりません。

 

自己肯定ができるようになると、自分がやりたいことをやるために人の力を借りることができるようになります。そこに感謝の気持ちが自然と湧いてくるわけです。

ですが、自己肯定できていない状態だと、人に何かを頼むことって怖くてなかなかできないんです。

例えば、日常の練習中もこんな感じで起きています。

A 自己肯定ができる選手:「こういうプレイを展開したいから今のパスはもう少し高めに上げてほしいんだ。もう一回やってみたいから練習に付き合ってほしい!」

↓  チームメイトが協力してくれる

自己肯定ができる選手:「ありがとう!助かったよ!」

 

B 自己肯定ができていない選手:「今のパス悪すぎるんだよ!こんなんじゃ良いパフォーマンスなんてできるわけないだろ。」

自己肯定ができる選手:イライラ、不平不満、感謝なんかできねーよ・・・

 

Aの選手は、自分のやりたいことを実現するために、例え相手の手を煩わせることになっても協力してほしいということを伝えることができて、何らかの形で実際にやりたいことをやれる状況を自らの手で作り出そうとします。

自分のやりたいことを実現してくれてありがとう、という感謝の気持ちが湧いてくるのは自然なことですよね。

 

一方Bの選手は、最終的に自分のやりたいことは実現できていません。
しかも、実現できなかったのは、相手のせいだという風に捉えています。感謝するというよりもむしろ被害者意識を持っています。

Bの選手は、自分の望む状況を誰かが創ってくれるのを待っているのです。
なぜなら、自分自身の力を肯定できていないので自分の望む状況を自分自身が創ることができるという感覚が薄いからです。
それ以前にまず、自分がどんなパフォーマンスをしたいと思っているのかという自分の望みを把握できていません。
だから、相手にどうしてほしいのかを伝えることができないのです。

自己肯定できている状態とは、「自分は望みを実現させてあげる価値のある存在だ」と無意識に認識できている状態だとも言い換えることができます。

ですが、自己否定にある状態の時には、自分自身が自分のことを否定しているのですから、他人からも同じように否定されるのではないかという恐れが無自覚にあります。
だからいつも、他人からどう見られているか、こうしたらどう思われるかということばかり気にしなければなりません。
そんな状態の時には、相手にこうしてほしいと伝えることがとても恐い行為だと感じてもおかしくないですよね。

そして、「自分は望むものを手にできる価値に値しない」と無意識に(無自覚)感じている場合は、それを自分に与えてあげようという発想に至りません。
そして、自分がどうしたいかという自分の望みを叶えることよりも、他人から否定されないかどうかということに注意を払っている状態の時には、自分の望みをキャッチすること自体が難しいのです。

 

 

「感謝とパフォーマンスのレベルを上げることとどう関係があるの???」って選手に聞かれて、説明できますか?

と書きましたが、説明できるようになりましょうということをお伝えしたいのではありません。

 

周りの人たちに感謝するんだよと教えることはとても大事なことだと思いますし、私もそのように生徒たちには伝えていました。

 

ですが、感謝することが大事というよりも、感謝できる心の状態にマインドをシフトさせること、つまり、そうなる前提として自己肯定をすることが大事なんだよということを教えることで、それが知識だけではない実践につながるのではないかと感じます。

 

そして、脳トレとして実践する方法もあります。

「常に自分が何を望んでいるのかに意識をフォーカスさせること。」

これなら選手は実践しやすいと思います。

 

感謝の気持ちを持てない選手をとがめることに留まらず、実践に導く方法として自己肯定がポイントになるのではないでしょうか。

 

知識を増やすこと以上に、それを実践できるように導くことが何よりも選手の力を発揮させることにつながりますね。

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